鳥居園芸

うちはそんなに朝早くなく、8:00就業開始、残業しないように17:00終了が基本です。

6月がだいたい定植時期（苗を植える時期）になります。花のない時期は一般的な管理を8時から15時までやっています。10月中旬～6月は朝来ると花切り、花切りが進んで来たら、出荷をするために葉っぱを下10cmくらい落とす作業があるのでそちらに移ります。そのあと、選別をして、選別したものを結束して25本の束を作り、100本づつ箱に詰めて出荷する。そんな流れですね。

若いころから花や植物が大好きで、中学生になってすぐサボテンの栽培を始めました。小遣いを貯めて、色んなサボテンを買い育てました。高校ではサボテンを卒業し、観葉植物を育てることに。沢山育てて、周りの人にプレゼントしていたら、みんな喜んでくれました。あぁ、植物は人を幸せに、温かい気持ちにしてくれるんだと感じて、ますます植物を育てることが好きになりました。

パイナップルの頭の部分を切って、実の付いた根元をキレイにして挿し木にすると3年ほどで大きな実をつけるんですよ。冬場の温度管理は大変ですが、プランターでも育ちます。年月はかかれども、気持ちに応えてくれる植物って本当に可愛いんです。そのパイナップルは近くのJAが珍しいからと店舗に飾ってくれました。それも嬉しかったのを覚えています。そんな風に植物と関りながら生きてきたので、自然な流れなのかもしれないですね。

農業高校へ通っていた時に、夏季休暇を利用して実際の農家さんでの研修がありました。

その時は自分でも観葉植物を育てていましたので、観葉植物を育てる農家さんで学ばせていただきました。その中で、観葉植物のメリットとデメリットが見えてきました。何にでもデメリットはあるものですが、観葉植物だと経費が掛かりすぎたり、労力がすごくかかる。そう思った時に、割と地元で栽培が盛んだったカーネ―ションに挑戦してみようと。諸先輩方も沢山いますし、心強い。

カーネーションは800～900種類にも及ぶほど品種も沢山あって、色んな色や形で人を喜ばせることができるとも思ったんです。

今では鳥居園芸で55品種ほどを育てています。これまでに、農林水産大臣賞を5回頂いたことがあり、やはり賞を頂くことで市場の方にも名前を憶えてもらえるなと感じています。品質の追及はこうやって花屋さんにも認めてもらえるんだなと感じました。

そうですね、農家はお休みがないというイメージがあると思います。サラリーマンのように土日祝日休みというきっちりしたお休みがないと思われがちですが、鳥居農園では原則週休2日としています。もちろん繁忙期はそううまくいかないこともありますが、できる限りお休みを取って心もリフレッシュしたり、家族と過ごす時間を大切にしてもらいたい。給与面ももちろんですが、「生き物」と向き合うところで休みがとりづらいと思われるかもしれません。でもやろうと思えばできます。そうやって少しづつ時代に合わせて良くして行けたらと思っています。
息子も一緒に生産者としてカーネーションを育てることができていて嬉しいです。若い世代が働きやすい環境を作ることも大事ですし、私も趣味に費やす時間が欲しいですしね（笑）

「周りの方を花で幸せにできる職業」

これに尽きます。身近に反応を感じることができるのも嬉しいです。儲かる儲からないは別として、自分が作ったもので喜んでもらえるのが喜びです。だからこそ、消費者とつながっていたいなと思っています。長年花を育てていますが、意思の疎通さえできる『花』って本当に素晴らしいと思います。

規模を広げる野望はそんなにありません。花の良さをどこまで追求できるか、良いものを作り続けていくことですかね。

あとは、前述したように、会社員と同じくお休みがある環境の整備。若い人も農業に携わりたい！と思ってもらえるように、まずは自分たちから変えていかないといけないと思っています。