園芸初心者の方でも育てやすいスイートピー。数多くある品種の中でもおすすめなのが春咲きのスイートピーです。綺麗に花を咲かせたのちに種を採集すれば、また次のシーズンで新たに花を育てることができます。
ここでは、スイートピーの種について採集方法や適切な時期などご紹介します。
1.スイートピーを育てるために知っておきたい基本知識
一般的に春咲きのお花として有名なスイートピーは、秋ごろに種まきを行います。
スイートピーは、多様な品種があり、春咲き以外にも夏咲きや冬咲き、宿根性(多年性)の品種などさまざまな時期で楽しむことができます。
マメ科のつる性の植物なので、2〜3mほどの草丈をフェンスやアーチに這わせる等、ガーデニングとして立体的な仕上がりに調整することもできます。その一方で、鉢植えで育てる矮性(小型)のスイートピーにも注目が集まっています。
2.スイートピーの種は種類が豊富!品種を選ぶポイントは?
スイートピーは、品種が多様な植物であり、世界にはおよそ100種類の品種が存在するとされています。日本国内でも盛んに品種改良がおこなわれ、現在も次々と新しい園芸品種が作り出されています。
花の色や耐寒性など品種ごとに異なる特徴があり、「春咲き品種」「夏咲き品種」「冬咲き品種」など開花時期によって大きく3つに分類されます。
また、この他にも「宿根性(多年性)の品種」というのも存在します。これら様々な品種を組み合わせることで、春に限らずほぼ一年中スイートピーで生活を彩ることができるのです。
ちなみに、草丈で分類した場合、一般的とされる高性種に対して、草丈が15〜30cmの矮性種があります。矮性スイートピーの中には、巻きひげのない突然変異で生まれた「キューピッド」シリーズなどが存在します。
ここでは、「春咲き品種」「夏咲き品種」「冬咲き品種」について詳しく説明していきます。
2-1.春咲き品種
スイートピーの中でも馴染み深く、ガーデニングでも人気の高い品種です。4月ごろから6月ごろに開花し、園芸素材や切り花として多くの人に親しまれています。
秋ごろに種をまき、苗の状態で冬を越し、春に苗を植え付けるのが一般的ですが、厳しい寒さの寒地では、春に種をまき、温暖地より1〜2か月ほど遅れて花を咲かせます。
2-2.夏咲き品種
夏咲き品種は、6〜8月の夏にかけて花を咲かせる品種です。日本国内で品種改良され誕生した「ロイヤル」シリーズは、純白の大ぶりな花を咲かせる品種として知られています。
他にも宿根性(多年性)の品種として、夏に種をまいたものが翌年の6〜8月に花を咲かせるものもあります。この宿根スイートピーは、「サマースイートピー」という名前で店頭で販売されている品種です。
2-3.冬咲き品種
冬から早春にかけて花を咲かせるのが冬咲き品種です。主にこの時期に流通する切り花用として、温室での促成栽培をプロの生産者が行っています。意外にも他の時期の品種よりも栽培しやすい為、流通量が多い品種でもあります。
一昔前までは、デメリットとして春咲き品種・夏咲き品種と比べると花の色が少ないことが挙げられていました。しかし、近年では「リップル」シリーズという花弁に吹きかけ模様が入った品種等、これまでの冬咲き品種のデメリットを覆すような花色や特徴があるものが登場するようになりました。
3.スイートピーの種を採取する方法は?どのタイミングで採集できるの?
近年では宿根性(多年性)の品種も出てきましたが、基本的にほとんどのスイートピーは1年草の品種がほとんどです。次のシーズンもスイートピーを育てる場合は、自分で栽培したものから種を採取することもできます。
ここでは、スイートピーの種の採取方法と採種する時期についてご紹介します。
3-1.スイートピーの種を採取する方法
スイートピーは、花が咲き終わった後に“さやえんどうのような大きなさや”が作られます。この大きなさやの中に、スイートピーの種がたくさん詰まっています。
スイートピーの種を採取する方法は、とても簡単です。例えるならエンドウ豆から豆を剝くように、大きな“さや“を開いて中からスイートピーの種を取り出します。このように自分で種を採取する前に、種が自然と”さや“から飛び出して、スイートピーが咲いていた土に落ちていることもあります。
採取できた種は、なるべく風通しの良い場所で保管しておきましょう。次のシーズンの秋にまくことが出来ます。
※スイートピーの品種によっては、種がつきにくいものもあるので注意してください。
3-2.スイートピーの種の採取時期
スイートピーの種を採取するのに適した時期の目安は、先ほどご紹介した花が咲き終わった後にできる“大きなさや”の色が茶色に変色した時です。さやが出たばかりの頃は緑色であり、種を採取するには若く、時期が早いです。熟した状態の種を採取するためには、緑がかった色ではなく、茶色に変化したものを狙いましょう。
しかし、緑色のものから決して採種してはいけないわけではありません。採取したものが緑色であっても、採種してから乾燥させておくことで自然と茶色に変化します。とはいえ、「採取した時点で熟していない種では、発芽率が悪いのではないか?」と心配される方もいるかもしれませんが、採種したものが緑色でも発芽することはあります。
基本的には、茶色になったさやから採種することが理想ですが、熟していなかったとしても種を乾燥させて茶色に変化させてみましょう。
※購入した種袋に「交配種」「○○交配」「F1」と記載されている品種は、育てたスイートピーと同じような特徴が現れにくいです。どのような花色・特徴があるスイートピーが咲くのか、育ってからのお楽しみです。
3-3.スイートピーを長く楽しむためには?
スイートピーの花を長く咲かせて楽しむには、スイートピーの花が枯れたら適宜摘むことがポイントになります。もしも、種をつける前に枯れた花を摘まずに放置していると、その株の栄養が十分に届かなくなり、老化が早まってしまいます。長期的にスイートピーを楽しむなら、こまめに枯れた花を摘み取る方が得策です。
スイートピーを育てる目的が種の採取だとしたら、あえて開花序盤に花を摘み、終盤に採種するというのも一つの方法です。そうすることで翌年の分の種をしっかり確保できます。
スイートピーを長く楽しむには、採取した種をまく時期が重要です。スイートピーは寒さには弱い植物なので、初霜が降る時期の前までに種をまいておくのがポイントです。
4.種からはじめるスイートピーの栽培方法
スイートピーから種を採取できたら、次のシーズンの開花に向けて種をまいて栽培してみましょう。
4-1.種まき時期
スイートピーの発芽適温は15℃で、20℃くらいまで発芽します。気温が下がりきらないうちに種をまくとうまく発芽しないので、本格的な秋が来てからまきましょう。種まきに適する時期は、温暖地(関東〜中国)では9月下旬〜11月上旬ごろ、暖地(九州・四国)では10月〜11月中旬ごろです。
寒冷地(東北、中部山岳地帯など)でも秋から始められ、苗をうまく越冬させられれば丈夫な株に育ちますが、開花時期は春に種まきをした場合と1か月ほどしか違いません。経験や冬期の置き場所に不安があるなら、寒地(北海道など)と同じように、3〜4月になってから十分な地温を確保して種まきを行うことをおすすめします。
4-2.発芽しやすくさせるコツ
スイートピーの種は大きくて扱いやすいのですが、種皮が硬く水分が通りにくい硬実種子(こうじつしゅし)です。発芽をよくするために、種まき前に吸水処理を行いましょう。
種が完全にかぶる量の水を浅い容器に張り、種を浸して半日〜1日ほど吸水させます。
吸水した種は膨らみますが、膨らまなかった種は再び水に浸すのではなく、カッターナイフやヤスリで種皮に傷をつける方法で発芽しやすくさせます。吸水時間が長すぎてもかえって発芽不良になるので、長くても一昼夜以内にしましょう。
5.まとめ
スイートピーは品種ごとに適した種まきの時期を守り、寒さ対策を行うことができれば、初心者でも比較的簡単に栽培することができる植物です。
ほとんどのスイートピーは一年草なので、長きに渡って楽しむのであれば、自分で種を採取して育てることをオススメします。
採種も特別なことをする必要はなく、開花後にできる”さや”が茶色く変色するのを待つだけです。
今回ご紹介した内容をもとに自家栽培のスイートピーを存分に楽しみましょう。
【参考サイト】
・GARDEN STORY https://gardenstory.jp/gardening/32936
・植物NAVI https://plant-world.biz/archives/10330